七輪ってなぜ七輪(しちりん)という名称なのでしょうか?
七輪がどのようなものか知っている人でも、名称の由来まで知っている人は少ないのではないでしょうか?
七輪の名前について考えていきたいと思います。
七輪と七厘の違いについて
七輪は別の書き方で「七厘」と書く場合があります。
七輪も七厘も読み方はどちらもおなじ「しちりん」です。
モノも同じで読み方も同じで、特に違いはありません。
名前の由来
七つの穴説:成り立たない
七輪を七つの穴と解釈する説です。
七輪の底には炭を置く場所に穴があります。私が使用している七輪も火皿に穴が開いています。
昔は穴が七つあるものが主流で「七輪」という名前が使われるようになったという説です。
しかし、底穴は丸く7つに形成する必要はなく、昔の七輪を見ても穴が5つだったり縦スリットだったりと形状に統一性はありません。
七輪の名称が七つの穴からとする説は成り立たないと考えます。

お金説:成り立たない
七輪をお金の七厘と解釈して、そこから七厘とした説です。
お金説は自分なりの解釈でかなり深堀りしていて、世の中の通説を覆そうとしている内容なので非常に長いですが、おつきあいください。笑
七厘という少ないお金で1日分の木炭が購入できたので、七厘と呼ぶようになったという説です。
1銭は1円の100分の1、1厘は1円の1000分の1です。
大正時代の1円は現代(2025年)で換算すると4000円相当ってことなので、1銭が40円相当、1厘が4円相当ということになります。
ということは7厘は28円相当ですよね。
大正時代に炭の値段が1貫 = 8銭という記録があります。
つまり、1貫(3.75kg) = 8銭(320円)ってことですね。
3750gを8銭で割ると、1銭(40円相当)あたりは468.75gです。
1厘は1銭の10ぶんの1なので、1厘あたり重さは46.875g ということになり、7厘(28円)だと328.125gです。
それで、328.125gってどのくらい?と気になったので実際に測ったんです。

330gの炭の量がコチラ。
測ったのはオガタンですが、320gで1日の量…??
え?1日分にしては少なくないですか?工夫すればなんとかいけるのかもしれませんが…
もしかして1日2食とか1日3食とかの1回分ってこと?
そうすると7厘(28円)x食べる回数分ってことになりますか?
1日3食、1か月換算だと 28円 x 1日3食 x 1か月(30日) = 2520円
単純な1か月換算だと 28円 x 1か月(30日) = 840円
お金の価値に妥当性があるのか明確にするのは難しいですし、当時の1か月の収入という意味でもよくわからないのでコスパが良いのかどうかは正直「謎」です。
そもそも日常生活で使われている七輪に対して、1回分で炭を買うというのもおかしな話しで、炭屋さんから炭を買うとしたら1週間分とか1か月ぶんとかの炭を購入すると思うんです。
だから炭代が七厘だったという理由で、七輪が「七厘=28円相当の炭代=約328.125g」と呼ばれていたという説には無理があるな、と考察しました。
実際どうだったのでしょうか?タイムマシンがあったら大正時代の人に聞いてみたいです。
それから、お金の単位の「厘」は1871年(明治4年)から導入された通貨です。
七輪のことをいつから「しちりん」と呼ぶようになったかはわかりませんが、少なくとも七輪そのものは江戸時代より前からすでに存在していましたので、厘=通貨の単位という理由の「お金説」は成り立たないと考えます。

重さ説
重量の単位にも厘の字が使われていました。
1厘は重さで表すと37.5mgです。
7厘だと262.5mg。つまり0.2625gです。
七輪本体の重さでもないでしょうし、使用する炭の量としても小さすぎます。
重さとしての七厘という説は成り立ちません。

名前の由来が所説ある
七輪の名前が所説あるのは、はっきりとした区別や名づけの語源がなく、広く家庭に普及したものであるからだと推測できます。
七輪の歴史的な背景をみれば、土器類と一緒に発見された七輪もあります。
かなり昔、名前のついていない頃から調理器具として使用されてきた証拠です。
その中で形状を変えながら現在の七輪の形状になったと考えられるでしょう。
七輪マスターで考えた説
七輪の名前に使われている「輪」という漢字。
この「輪」という文字は輪(わ)を意味しており、太陽など多くの丸いものに使用される文字です。
今よりも昔、人々が仏教を覚えていくと、この「輪」の文字がよく使われるようになりました。
輪はすべての徳をそなえるという意味があり、特に重要視されていたのが五智輪(ごちりん)という宇宙の全てを構成する、地・水・火・風・空の5つです。
五智輪は人の体に配置して、空=頂輪、風=面輪、火=胸輪、水=臍輪、地=膝輪としました。
- 空:頂輪(ちょうりん):頭頂部を指す
- 風:面輪(めんりん) :顔面を指す
- 火:胸輪(きょうりん):胸部を指す
- 水:臍輪(さいりん) :へそを指す
- 地:膝輪(しつりん) :膝下を指す
ここで注目するのが地を表す「膝輪(しつりん)」です。
膝 (ひざ) の輪 (わ) と書いて漆輪(しつりん)です。
昔から使用されいた名前のない調理器具の七輪は、カマドの横に置かれていて、最初の焚き付けや料理の一時置き場のように使用されてきました。
「いただきます」や「ごちそうさまでした」と言う感謝の気持ちなどからもわかるように、食べ物を調理することや、火を扱うことはとても大切なことです。
そんな人々の暮らしから、いつも自分のひざ下(漆輪:しつりん)に置かれた調理器具は丸い形から連想して「しつりん」と呼ばれるようになりました。
「しつりん」は携帯用焜炉(こんろ)として使用され始めた頃には日本全国にあっと言う間に普及したため、呼び方が次第に「しちりん」と変わっていったのです。
いつも地面に置かれ人々の生活を支えた縁起のよいもので、丸い円形をしていたため膝輪(しつりん)と呼ばれるようになり、全国各地に広がるころには五徳についで徳のある存在として「七」を当てはめた「七輪」となった。
そう考えるのは、とても自然な流れではないでしょうか?
これが私の考察する「七輪」名前の由来です。

このブログではそんな理由から「しちりん」という文字を使用するときは縁起のよいものとして「七輪」を使用することにしています。
七輪を使っておつまみを炙って食べていると、日本の文化の歴史にも想いを馳せてしまいます。
きっと、昔の人もこうやってのんびりと食事を楽しんでいたのかな?なんて考えると、より一層七輪が深いもののように感じます。
七輪の名前の由来を知ったら、実際に使ってみたくなりませんか?
一度使ってみると私のようにドップリ嵌ってしまうかも!?
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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