七輪ってなぜ七輪(しちりん)という名称なのでしょうか?
七輪がどのようなものか知っている人でも、名称の由来まで知っている人は少ないのではないでしょうか?
七輪の名前について考えていきたいと思います。
七輪と七厘の違いについて
七輪は別の書き方で「七厘」と書く場合があります。
七輪も七厘も読み方はどちらもおなじ「しちりん」です。
モノも同じで読み方も同じで、特に違いはありません。
名前の由来
七つの穴説
七輪を七つの穴と解釈する説です。
七輪の底には炭を置く場所に穴があります。私が使用している七輪も火皿に穴が開いています。
昔は穴が七つあるものが主流で「七輪」という名前が使われるようになったという説です。
しかし、底穴は丸く7つに形成する必要はなく、昔の七輪を見ても穴が5つだったり縦スリットだったりと形状に統一性はありません。
七輪の名称が七つの穴からとする説は成り立たないと考えます。
お金説
七輪を七厘と解釈して、そこから七厘とした説です。
七厘という少ないお金で木炭が購入できたので、七厘と呼ぶようになったという説です。
お金の単位の「厘」は1871年(明治4年)から導入された通貨です。
七輪のことをいつから「しちりん」と呼ぶようになったかはわかりませんが、少なくとも江戸時代より前からすでに存在していましたので、お金説は成り立たないと考えます。
重さ説
重量の単位にも厘の字が使われていました。
1厘は重さで表すと37.5mgです。
7厘だと262.5mg。つまり0.2625gです。
七輪本体の重さでもないでしょうし、使用する炭の量としても小さすぎます。
重さとしての七厘という説は成り立ちません。
名前の由来が所説ある
七輪の名前が所説あるのは、はっきりとした区別や名づけの語源がなく、広く家庭に普及したものであるからだと推測できます。
七輪の歴史的な背景をみれば、土器類と一緒に発見された七輪もあります。
かなり昔、名前のついていない頃から調理器具として使用されてきた証拠です。
その中で形状を変えながら現在の七輪の形状になったと考えられるでしょう。
七輪マスターで考えた説
七輪の名前に「輪」という文字があります。
この「輪」という文字は輪(わ)を意味しており、太陽など多くの丸いものに使用される文字です。
今よりも昔、人々が仏教を覚えていくと、この「輪」の文字がよく使われるようになりました。
輪はすべての徳をそなえるという意味があり、特に重要視されていたのが五智輪(ごちりん)という宇宙の全てを構成する、地・水・火・風・空の5つです。
五智輪は人の体に配置して、空=頂輪、風=面輪、火=胸輪、水=臍輪、地=膝輪としました。
ここで注目するのが地を表す「膝輪(しつりん)」です。
膝 (ひざ) の輪 (わ) と書いて漆輪(しつりん)です。
昔から使用されいた名前のない調理器具の七輪は、カマドの横に置かれていて、最初の焚き付けや料理の一時置き場のように使用されてきました。
「いただきます」や「ごちそうさまでした」と言う感謝の気持ちなどからもわかるように、食べ物を調理することや、火を扱うことはとても大切なことです。
そんな人々の暮らしから、いつも自分の漆輪に置かれた調理器具は丸い形から連想して「しつりん」と呼ばれるようにりました。
「しつりん」は携帯用焜炉(こんろ)として使用され始めた頃には日本全国にあっと言う間に普及したため、呼び方が次第に「しちりん」と変わっていったのです。
いつも地面に置かれ人々の生活を支えた縁起のよいもので、丸い円形をしていたため膝輪(しつりん)と呼ばれるようになり、全国各地に広がるころには五徳についで徳のある存在として「七」を当てはめた「七輪」となった。そう考えるのは、とても自然な流れではないでしょうか?
これが私の考察する「七輪」名前の由来です。
このブログではそんな理由から「しちりん」という文字を使用するときは縁起のよいものとして「七輪」を使用することにしています。
七輪を使っておつまみを炙って食べていると、日本の文化の歴史にも想いを馳せてしまいます。
きっと、昔の人もこうやってのんびりと食事を楽しんでいたのかな?なんて考えると、より一層七輪が深いもののように感じます。
一度使ってみたらわかりますが、私のようにドップリ嵌ってしまうと思います。笑
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
コメント